Diary of Rino Tsugumi

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zoom RSS 「彼女を目の前に」第3話

<<   作成日時 : 2017/05/19 09:38   >>

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「あのさ、お母さん」
一応、親の許可は、取っておかないとな。
「友達が、日本シリーズのペア観戦チケット当てたから、行かないかって誘われたんだけど、行っていい?」
梶村さんのことは、口が裂けても言えないけど。
「部活ないの?」
「土曜日の当てたらしいから」
「そう…ならいいけど、気を付けてね。あんたは昔から悠斗くんと違って危なっかしいんだから」
一言多いんだよな、お母さんは相変わらず…。
でも許可取れたから、まぁいっか。

 *

2週間もの眠れない夜を乗り越えて、日本シリーズ観戦当日。バス停で待ち合わせをしていたのはいいが、人が多すぎて、梶村さんを探せない。

『梶村さん

今どこですか?
俺はもう着いてます。
黄色のTシャツにグレーのパーカー、
下は紺のジーパンに黄色い靴です。

玲央』

黄色はサンダースのイメージカラーだ。

『小宮くん

もう着いてるよー(^^♪)
わたしは黄色のワンピースに白いパーカー着てるよー♪

☆Mahiro☆』

「小宮くん?」
「は、初めまして、梶村さん」
「いよいよだね」
「応援しましょう!」
「今日の先発、吉村だって」
「ほんとですか?じゃあなおさら応援しないとダメですね」
「そうだね」
「行きますか」
「もうバス来るね」

 *

後に聞いた話によると、この時梶村さんは俺のことをかっこいいと思ったらしく、この日の観戦が終わった数日後、悠斗に会ってこんな会話をしている。
「大北、あんたの幼馴染、超イケメンじゃん」
「ふふ、イケメンっすか?」
「なんでうちの高校来なかったんだろうね?」
「あいつん家、母子家庭なんすよ。どうも玲央のお父さんにあたる人が、紫織おばさんを―」
「紫織おばさんって?」
「玲央のお母さんです。紫織おばさんを妊娠させておいて結婚もせずに逃げたみたいなんです」
「ってことは私立は経済的に無理だったってこと?」
「そうっすね。そのせいか、玲央は将来プロ野球選手になってお母さんに恩返ししたいらしいんです」
「…あの子がプロになったら、あたし、あの子のファンになろっかなぁ〜」
「いいっすね。玲央も喜んでくれますよ」

 *

バスに揺られること1時間半、東京サンダースの本拠地である東京スタジアムに着いた。
「お腹すいたね」
「お昼食べてから入りますか」
「そうね」
近くのファミレスで昼食を済ませて会場に入る。
「すごい熱狂ですね…」
「日本シリーズだからレギュラーシーズンより盛り上がるよね」
球場で2ショット写真を撮った。

 *

試合は4-1でサンダースが勝った。
「吉村のピッチング良かったね」
「要所要所をちゃんと抑えてましたね」
「…帰らなきゃだけど、何だか名残惜しいな」
言葉が出ない。
梶村さんと過ごした時間は、あまりにも早すぎた。
「じゃあ、またメールしようね」
この日から6年もの間、俺と梶村さんが会うことはなかった。

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