Diary of Rino Tsugumi

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zoom RSS 「わたしは貴女に恋をしました。」第3話

<<   作成日時 : 2017/05/17 12:32   >>

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澪莉のいる3年A組の担任になって1か月、この日は5月の遠足があった。行先は自由だったが、クラスで話し合った結果、愛原くんが副担任を務めるC組と一緒に遊園地に行くことになった。
貸し切りバスが来るまでの間、みんな門前で雑談をしている。
「伴野先生」
「あら、愛原くん」
「最近どうっすか?」
「それはどっちかっていうとこっちのセリフなんだけど」
離婚の件が気になる。
「あ…えっと、離婚は、まだです」
まだということは、愛原くんは未だに離婚したがっているのか?
「吏子ちゃんのうつ病が治ったら、離婚はやめるの?」
「何とも言えないです」
なんだその誤魔化し方は。
「鷺澤先生〜」
澪莉がわたしに飛びかかりかける。
「一色さん、…今日は楽しみだね」
「楽しみどころの騒ぎじゃないですよ…。緊張しすぎて昨日寝れなかったんですから〜」
何をそんなに緊張していたのか?
今思えば、1日中わたしと一緒に過ごせるからだったのではないかと推測できる。何せバスの席がわたしの隣だったからだ。が、この時はそんな推測はできなかった。

 *

愛原くんのC組とは別の、A組のバスに乗る。出発するなり、澪莉はわたしの体を優しく触ってくる。最初は驚き戸惑ったが、そのうち何故か心地よく感じてきた。澪莉の体温が割と低いためか、無性に澪莉の体を温めてあげたいという欲望が出てくる。
わたしはたまらず澪莉の手を握る。いくら今日の気温が低めだとはいえ、澪莉の手は、5月とは思えないほど、冷たい。今のわたしは、澪莉への母性―いや、これも澪莉への恋愛感情なのかもしれない―でいっぱいだ。
家族がいることなんか、どうでもいい。ただ、澪莉と触れ合い続けたい。澪莉を独占したい。
澪莉も澪莉で思うところがあるのか、今度はわたしの頬をスリスリしてくる。これもこれで気持ちいい。ずっと永遠に、このままでいられればいいのに…。

 *

バスは小1時間ほどで遊園地に着いた。澪莉と触れ合いすぎたせいか、降りようとすると体が重く感じた。
A組とC組の合同の集会が終わるなり、みんなは一目散に走っていった。が、澪莉だけは―。
「先生は行かないんですか?行きましょうよ〜」
相変わらず可愛すぎて放っておけない。さっきまで重かった体が、軽く感じる。手をつないで長い行列の先の観覧車へ向かう。
わたしたちのいる少し前に、C組の李浩然くんとDan Garsonくんがいる。後に聞いた話によると、李くんは同性愛者で、Danくんに思いを寄せていたらしい。わたしはその時、彼らとわたしたちとを重ね合わせた。
この時はじめて、わたしは澪莉のことが恋愛的に好きなんだと、気が付いた。
学校では、澪莉はもちろん誰にも贔屓なんか全くしてない。でも何故か澪莉は、4月からずっと、わたしの隠れた感情をくすぐってくる。
そして今、気が付いた。
これは澪莉への恋愛感情なのだと―。

 *

観覧車に乗ると、まず澪莉がこう切り出した。
「私、どうしても先生に言いたいことがあって…でも、言ったらこれから相手にされなくなるんじゃないかって考えちゃって、なかなか言えなくて…かと言ってうまく隠せないし…」
「何なの?今なら2人きりだから、言えるんじゃないの?」
その時わたしは、澪莉の口から「好き」という言葉が出るのを心待ちにしていた。
「私…先生のことが好きです」
来た―。
「私を、愛人にしてください」
答えはもちろん、
「わたしも、一色さんのこと、好き」
だった。
この日から、わたしの人生は、少しずつ狂っていった。

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